背黄青鸚哥(セキセイインコ)
まずは、チャーリーの名前の由来から話さねばなるまい。
チャーリーとはセキセイインコの長寿ギネス記録を保持しているインコの名前である。もしも暇があるなら検索してみるといいが、実は見つけるのにそこそこ骨が折れるから覚悟しておくといい。ギネス公式の検索が解り辛いせいでかなり手間取った。
去る九月一七日、その前から何度か訪れていた近くのペットショップへ私は向かった。忘れられぬ、あの羽毛が売れていないか確認するためだ。
確かにそこにいた。イエローとライムの取り合わせにちらと見えるスカイブルー。なんとも魅惑的な風貌である。
確認だけと考えていた五秒前のことも忘れ、指でこつんと嘴を叩いたり、じっと眺めたり、ともすれば別の鳥の方へ歩いてゆき、流し目で彼(なのか彼女なのか)を見たりした。
「何度かいらしてるんですか?」
突然優男に声をかけられた。その声には反語の色が見えた。当たり前だ。本当に何度も来ているのだもの。
「あ、え、はい、この子売れてたら嫌だなと思って…初めて鳥を飼いたいと思ったので不安なんです。」
私のつまらないところは余計なことをぺらぺらと話してしまうところだ。これが原因で昔は祖母によく叱られた。
「そうですよねぇ、でも実はセキセイインコはとても初心者向けなんですよぉ。」
カモだと思われたのだろう、カゴを開けてインコを手のひらに乗せてきた。
おっかなびっくりそれの重みを確かめた。思ったより温度が高いことを発見した。
「飼育環境はどうされるおつもりですか?」
「一通りは勉強してきたのですが、出来たら一緒に選んでいただけると…。」
あっと気づいた時には遅かった。本当に、私のつまらないところは余計なことをぺらぺらと話してしまうところだ。
あれよあれよという間に一万五千円弱の荷物とセキセイインコを抱えて帰路へつく。
インターネットで揃えれば同じラインナップで五千円は浮いただろう、しかし生体を購入した店でグッズを揃えた方がこの先相談しやすくなるというものである。その手間賃を先払いしたと考えれば安いものだ。
こうして私はインコを手にいれた。金も時間も惜しまぬ、何せ待望のセキセイインコである。末永く付き合っていきたい。
人間で言えば寿限無云々と名付けたいところだが、セキセイインコの長寿名とはどんなものかしらんとGoogleで検索したらギネス記録へたどり着いた。
それからチャーリーはチャーリーとなった。普段は彼のことをちゃりさんと呼び、親しんでいる。
そして私の名前はしろ、同居人の名前はくろである。くろという男についてはまた後日話すとしよう。
<了>