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チャーリーとしろくろ

セキセイインコのチャーリーと人間のしろとくろの生活をつづります。

「この水がいいね」と君が言ったから霜月五日は湯浴み記念日

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 ことの始まりは午後一時ごろ、作業を一度中断してチャーリーの籠前で立ち止まったことだった。

 「あれ、あなたそんな色の羽根してた?」

 眼前には手羽の先端が茶色いチャーリー。よく見てみるとなんと腹まで茶色ではないか。

 慌てた私は籠の中に危険物が入っていないか今一度調べ、周りも調べた。しっかりと施錠された金網の扉ではあるが、最近のチャーリーの成長なら、抜け出して何食わぬ顔でまた扉を閉めることも容易かもしれぬ。

 嫌がるチャーリーを宥めつつ、匂いを嗅がせてもらう。何も匂いがしない。強いて言うならチャーリーの匂いがする。とりあえず油や洗剤などそう言った類ではないようだ。

 一たび混乱すると様々な可能性について考えられぬ私なので一度落ち着こうと遠目にチャーリーを見ながら、コーヒーを飲んだ。

 実は本日発生した緊急事態に午前中かかりっきりだったために、その気持ちに引き摺られて焦るばかりである。

 

 漸う落ち着いた夕方ごろ、改めてチャーリーを見ると茶色が消え、元の色に戻っており、元気に金網登りを楽しむ彼がそこにいた。

 ふと水に羽や餌殻が浮かんでいたので、換えてやる。ついでに皿洗いをした。結構溜まっていたのでやり甲斐がある。

 「ぴよよ、ぴよよ。」

 汚れを落とす作業は本日の疲れを癒すのにうってつけであるように思った。しかし、随分チャーリーが騒いでいる。一度手を止めてチャーリーのところまで行く。指を動かし、遊んでやろうとするが呼んだだけで満足したようでそっぽを向いてしまった。

 我儘なチャーリーのため籠をずらしてやり、私が見えるようにした。なるべく話しかけるようにして洗い物を再開する。

 「ぴよよ、ぴよよ、ぴよよ。」

 いつもなら話しかけたら応える、と一応のやり取りがあるものだが、今回はまるで様子が違う。もしやあの茶色の原因がチャーリーを悪くしてしまったのではないかとすっと背筋が寒くなって、もう一度手を止めてチャーリーのところへ行こうとした。

 蛇口を閉めた途端、鳴き声が消えた。おやと思い、再び蛇口を捻る。だだだだだとシンクを叩きつける水の音が響く。瞬間、チャーリーの鳴き声が再開した。三度蛇口を閉める、チャーリーが鳴く。捻る、噤む。

 

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 雪平鍋に小松菜を入れ、水道水で二センチ強満たす。また、気に入りの玩具を沈めてやり、浅瀬から誘い入れてみた。

 勢いよく底に擦り付けたりして遊ぶチャーリーはまさに水を得た鳥である。

 終わりは写真の通りで、この姿はまさに午後一時ごろ見たチャーリーそのままであった。恐らく水入れに体を浸すほど水浴びに飢えていたと見える。反省。

 ドライヤーを遠くからかけてやると、目を細めて言葉ともつかぬ声を出していた。

 

 また、今回初めての水浴びにもかかわらず、写真を撮るのを失念していた。それほど可愛かったのである。反省。

 

 <了>